PMOのプロジェクトはつまらない?
上記の悩みを解決します。
■ 本記事の内容
- PMOの役割や仕事内容
- PMOプロジェクトがつまらないと言われる2つの理由
- PMOプロジェクトにアサインされた時の心得
- PMOプロジェクトが合わないと感じたら
■ 本記事の想定読者
- PMOが何かイマイチ理解しきれてない方
- SIを始めとしたIT系からコンサル業界への転職を検討されている方
- コンサルに入ってみたものの、いきなりPMOプロジェクトにアサインされ、入社前のイメージと異なっていたと感じる方
■ 本記事を読むメリット
- PMOの役割や仕事、コンサルがPMOを担う背景や意味を理解できる
- PMOプロジェクトにアサインされた時の心得を理解し、モチベーションやパフォーマンスの向上に繋げることができる
こんにちは、てらでぃーです。
最近、コンサルティング業界では、戦略ファーム・総合ファームに関わらず、PMOプロジェクトの数が増えています。
そして、特に若手メンバー(入社数年目)や中途での転職を検討されている方から、こんな声をよく耳にします。
「PMOプロジェクトって、つまらないんでしょ?」
「入社初期にPMOプロジェクトだと、コンサルスキルが育たないから、アサインされたくない」
現役コンサルタントである筆者も、ファームへ入社して間もない頃はPMOが何かも知らず、ただ漠然と上記のようなことを感じていました。
しかし、実際にPMOプロジェクトに入って日々奮闘する中で、"食わず嫌い"も薄れていったため、当時の体験も踏まえつつ、PMOについて本記事で紹介していきます。
早速、本題に入ります。
目次
1. PMOとは
1-1. PMOの役割
まず、PMOとは何か?から説明していきます。
そもそもPMOという言葉は、Project Management Officeの略称です。
参考までに、PMO含めてコンサル業界でよく使われる用語については、以下の記事でまとめていますので、興味があればご覧ください。
→【あるある】PDとは?PMOとは?よく使われるコンサル用語を解説
そして、PMOの役割とは、プロジェクトを円滑に進めることです。
そのために、個別プロジェクトや組織を横断して、プロジェクトマネージャーの意思決定を支援するために求められる様々な業務を行います。
次に、PMOが存在する理由を説明します。
プロジェクトの規模が大きい場合(= 関与人数が多い / 領域が広いetc)に、プロジェクトマネージャー1人で、チームメンバーにタスクを割り当て、その進捗を把握しながら、自身も求められる業務を全て行うことは、時間的にも能力的にも限界があります。
つまり、プロジェクトマネージャーの重要な役割の1つである意思決定に割く時間が、捻出できなくなってしまいます。
そのため、プロジェクトマネージャーによる意思決定を間接的に支援するため、PMOが"プロジェクトマネジメント"を担うことになります。
PMOが求められる場合、大規模なプロジェクトが多いため、結果的にはその内容の大半はIT系である印象です。
1-2. PMOの仕事内容
では、PMOの役割を理解した上で、どのような業務を行うのでしょうか?
具体例を見てましょう。
- プロジェクト管理手法の標準化
- プロジェクトの進捗管理・可視化
- 課題・リスク管理
- 会議体の整理
- 各種会議体のファシリテーション
- 議事録や進捗報告資料等のドキュメント作成
上記で紹介した内容はあくまで一例に過ぎず、PMOが行う業務はケースバイケースです。
その理由は、プロジェクトの内容や組織の特性に応じて、プロジェクトマネジメントにおける課題が異なるため、注力すべき支援内容も変わるからです。
そして、上記を始めとした業務の遂行にあたって、必ずクライアントとのコミュニケーションが発生します。
進捗管理一つ取っても、プロジェクトタスク自体はクライアント側のメンバーが行うことが多く、その進捗を把握する必要があります。
IT系のプロジェクトのタスクであれば、開発作業等を指します。
さらに、進捗を管理する目的と照らし合わせて、何をどの粒度でどんな頻度で把握すべきかは事前に考えておくべきでしょう。
少し話は脱線しますが、このようなケースでは、5W1Hで考えておくと頭の整理が出来るため、オススメです。
5W1H:
Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)
1-3. コンサルティングファームがPMOをする理由
なぜPMOプロジェクトが発足するのかと言えば、ひとえにニーズがあるからです。
クライアント目線およびコンサルティングファーム目線で、次のような思惑があります。
■ クライアント目線
- プロジェクトベースの働き方に慣れており、プロジェクトマネジメントに長けているコンサルにPMOを依頼したい
- 第三者として、プロジェクトを中立的に客観視できる立場からマネジメントを支援して欲しい
■ コンサルティングファーム目線
- 期間が長く、継続で受注しやすいことも相まって、予算達成に向けた"守り"のプロジェクトとしてポートフォリオに組み込んでおきたい
- 長期間であるためにクライアントとの接点が多く、別プロジェクトへの派生が期待される
繰り返しにはなりますが、クライアントが決して安くはないコンサルティングファームにPMOを外注する理由は、双方にとってニーズがあるから、ということです。
2. PMOプロジェクトはつまらないと言われる理由
なぜ若手コンサルタントからPMOプロジェクトはつまらないという声が上がるのか?
その理由は大きく2つに分けられます。
2-1. コンサルスキルが育ちにくい(と思われている)
コンサルと言えば、事業戦略を立案するだとか、M&Aに伴う組織再編を主導するといったプロジェクトをイメージされている方も少なくありません。
そして、上記のようなプロジェクトと比較して、PMOプロジェクトでは頭を使って考え抜くといった業務が少ないことも事実です。
受け身で仕事をしていると、目の前にある会議調整や議事録の作成といった単純作業に終始してしまうことにもなりかねません。
結果として、既にある程度出来るような難易度の低い業務しか携われなかったり、上司と議論する時間も減り、成長の機会が少なくなってしまう可能性もあります。
2-2. プロジェクトに対する影響が少ない(と思われている)
そして、単純作業ばかりをやっていると、こう思うようになります。
「この仕事って、自分じゃなくてもよくない?」
「自分が居なくても、このプロジェクトは回るんじゃないか?」
仕事に対してやりがいがないと感じてしまう状態ですね。
仕事のやりがいは、あなたの出す価値の大きさ(=希少性)に依存します。
誰にでも出来るわけではなく、スキル・能力や時間を使ってようやく出来る場合に、希少性は生まれます。
頭を使わなくても、時間を使わなくても出来てしまう業務であればあるほど、仕事に対するやりがいは失われてしまいます。
そして、そのような業務が続く場合、プロジェクトにおいて自分の仕事に価値があるのか分からず、モチベーションも上がらないといった状況に陥る可能性もあるでしょう。
3. PMOプロジェクトにアサインされた時の心得
上記で紹介したような状況を避けるために、どのような心掛けをしておけばよいかを紹介します。
どうせ同じPMOプロジェクトをやるのであれば、「つまらないから」と言ってネガティブに取り組むのではなく、モチベーションを保ちながら成長する機会として前向きに捉えたいところです。
3-1. 能動的に動く
PMOが必要なほど大規模なプロジェクトであれば、大抵の場合、プロジェクトを推進する上での課題やリスクが、あちらこちらに落ちているものです。
もちろん、プロジェクトマネージャーであれば、その障害やリスクの内、重要な内容は把握しているでしょう。
そして、把握している中でPMOの手を借りなければならない内容については、具体的な作業指示と共に解決を依頼してくることもあります。
しかし、その指示を待っているだけでは、解決までのスピードがどうしても遅くなりますし、そもそもプロジェクトマネージャーが把握しきれていない課題やリスクも存在しています。
だからこそ、PMOは全体像を把握し、課題やリスクの可能性を先回りして考え、解決に向けて主体的に動く必要があります。
例えば、プロジェクトが遅延している場合、その原因仮説を考え、検証するための情報を収集し、検証結果とともに仮説のブラッシュアップや、アクションの提案・実行までを行うわけです。
3-2. 最初は愚直に信頼を獲得する
能動的に動くに当たって、仮説を検証するための情報を、現場のプロジェクトメンバーからヒアリングすることもあります。
その際、現場のプロジェクトメンバーからすれば、こう思われることもあるでしょう。
「ヒアリングなんて、余計な仕事を増やさないで欲しい」
「何故、PMOに協力しなければならないのか」
「結局協力しても、現場のプロジェクトに還元されないし、意味がない」
特にプロジェクトが発足したばかりで、初対面の相手であれば、尚更ですよね。
これらは、プロジェクトメンバーからPMOとしての信頼を得られていないために、PMOに協力する目的やメリットが十分理解されず、生じてしまう状況の一例です。
よって、現場からの協力を得るためには、進捗の可視化や議事録の作成、会議のファシリテーションなど、足元の業務を正確に速く実行しながら、現場に還元するための業務も並行して遂行することで、信頼関係を構築することが肝要です。
3-3. 現場目線と経営目線のバランスを保つ
現場からの信頼を得られれば、プロジェクト内でも柔軟に動くことができるようになり、仮説検証のための情報収集も非常にスムーズになるはずです。
だからと言って、いつまでも現場目線で居ては、木を見て森を見ずということにもなりかねません。
あくまで、PMOの最終的な目的はプロジェクトを成功に導くことですから、時には現場に対して耳の痛い意見を言う必要もありますし、あえて反感を買う役を演じる必要もあります。
上記の行動をした際、一時的に現場からの信頼を失ったとしても、最終的にプロジェクトが成功した暁には、より大きな信頼の獲得に繋がります。
目線を現場から一つ二つ上げて、より高い視座で仕事する意識は忘れないようしましょう。
プロジェクトメンバーがパフォーマンスを出しやすい環境の醸成、プロジェクトの成功、そしてクライアントが目指す姿の定義やその実現までを意識しながら、現場目線と経営目線のバランスを保つということが重要です。
3-4. タスクではなく、論点を追う
同じPMOプロジェクトであっても、何を意識するかによって、プロジェクトの進み具合やあなたの成長度合いが変わります。
PMOに限らずですが、プロジェクトは頭を使う「思考」と手を動かす「作業」の積み重ねです。
厳密に区別することは難しいですが、例えばこんなイメージです。
・思考:仮説の構築、論点の設計、etc
・作業:リサーチ、数値分析、etc
PMOプロジェクトにおいて、一般的にフォーカスしがちな要素が「作業」のマネジメントなわけですが、本来「思考」のマネジメントも忘れてはなりません。
当然、特定の作業が終わったか終わってないかが重要なタイミングもあります。
しかし、意思決定や、その元となる論点の分解、各論点における検討など、「思考」をベースにマネジメントが出来れば、それはもう立派な"良い"PMOと言えるでしょう。
"良い"PMOについては、こちらのYoutubeで紹介されているので、気になる方はご覧ください。
PMOに限らず、コンサルタントの素養についても、あらゆる動画で勉強させていただいています。
4. PMOが自分に合わないと感じたら
色々試してみた結果、PMOプロジェクトが合わないと感じることもあるかと思います。
PMOとして入るようなプロジェクトは、期間が長いケースも多いため、ネガティブな精神状態で続けていても、多方面に影響が出てしまうだけです。
一例として、次のような可能性も考えられます。
- 個人として、低いモチベーションゆえにパフォーマンスが低下し、ボーナスが下がる
- チームとして、タスクの巻き取りによって他メンバーに負荷が集中し、チーム全体の士気が低下する
- クライアントとして、フィーに見合った価値を享受できず、プロジェクトの打ち切りに繋がる
PMOプロジェクトが合わないと判断したのであれば、次のような手段を取ることになります。
4-1. プロジェクト変更
一般的には、プロジェクト変更を上長に相談することが最も多いです。
相談時には、次の2点を予め考えておくとよいでしょう。
・今のPMOプロジェクトから抜けたい理由
・キャリアプランを踏まえたアサイン希望
自分の状況を一番よく理解されているのはあなた自身ですし、辛い思いをしている状況であっても、上司から見れば「まぁ大丈夫でしょ」くらいに思われている可能性だってあります。
自ら動いていかないと、悪化する状況から抜け出せないまま、精神的に体力的に辛くなってしまうこともあるため、思い切って相談してみることも大切です。
いきなり上司に伝えづらいなんて場合は、身の回りにいるプロジェクトから少し離れているメンバーや、社内のカウンセラーに壁打ちしてもらいながら、相談内容を打ち明けてみることも有効です。
いずれにしても一歩一歩前に進むことが出来ればよいので、まずはご自身で考えを整理してみることをオススメします。
4-2. 社内異動
プロジェクトの変更が難しい場合や、今のプロジェクトを抜けたとしても、結局同じようなPMOプロジェクトにアサインされてしまうといった場合、所属するチームを変更することも選択肢の1つです。
社内異動ともなると、プロジェクト変更よりプロセスや関与者が増えるため、社内手続きを確認しておくとよいですね。
会社によって社内異動プロセスは異なるとは思いますが、大体次の進め方になると思います。
- 異動先のチーム候補を選定
- 異動先のチーム長と面談し、受け入れについて合意
- 現チーム長と面談し、受け入れについて合意
- 人事異動
重要なポイントは、社内異動に関して現在のチームに全ての決定権があるわけではなく、異動先(受け入れ先)とも事前に合意しておく必要がある点です。
そして、プロジェクト変更と同様に、次の2点を予め考えておきましょう。
・今のチームから抜けたい理由
・キャリアプランを踏まえた異動先チームとその理由
進め方②③では、実際に次の2点について他者と会話することになるため、伝え方や伝える内容についてもイメージしておきたいところです。
4-3. 転職
そして、自分が納得するだけの経験が得られたと思ったならば、別の会社への転職も1つの手です。
別ファームに飛び込んで、引き続きコンサルタントとして働く道もあれば、
事業会社に飛び込んで、特定の事業に情熱をかけて取り組む道もあれば、
ベンチャーに飛び込んで、裁量を持ちながらあらゆる仕事に情熱を注ぐ道もあれば、
フリーのコンサルとして、自分の好きな時間/内容で仕事を選ぶ道もあります。
どの道を選ぶとしても、情報収集の一環として転職エージェントを上手く活用することをオススメします。
転職エージェントの利用自体は無料であるため、必要な情報だけを取り入れて、今後進むべき道を決める際の参考にしましょう。
5. まとめ
若手のコンサルタントから避けられがちなPMOですが、見方によってはコンサルの基礎スキルを総合的に学ぶことができるプロジェクトです。
クライアントとのリレーションを築くなど、他プロジェクトで若手の内には出来ない経験も積める可能性があります。
私個人としては、年単位で固定的なアサインでなければ、若手の内に経験すべきプロジェクトの1つと思っています。
それでも、PMOプロジェクトがつまらないと感じた際は、本記事で紹介した内容を実践し、より良いコンサルライフを送れるように願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!