アサインされないと、どんな影響があるの?
アサインされるためには、何をすれば良いの?
上記の悩みを解決します。
■ 本記事の内容
- そもそもアサインとは、どんな流れで決まるのか
- 一定期間アサインされないとどんな影響があるのか
- アサインされない原因とその対策
■ 本記事の想定読者
- アサインの仕組みを理解したい方
- ファーム内で思うようにアサインされず、何をすれば良いか分からない方
■ 本記事を読むメリット
- コンサルティングファームにおけるアサインの仕組みを理解し、短期的にはアベイラブル期間を短くし、長期的にはキャリアにあったプロジェクトへのアサインに向けた動きを意識できるようになる
こんにちは、てらでぃーです。
既にコンサルタントとして活躍されている方や、これからコンサルティングを目指す方であれば、"アサイン"というキーワードを耳にしたことがあるかと思います。
「希望通りのプロジェクトにアサインされるためには、どうしたら良いのか」
「そもそもプロジェクトにアサインされてないんだけど?」
こういった疑問を解消すべく、本記事ではアサイン周りのトピックについて、現役コンサルタントである筆者が、実体験を交えながら紹介していきます。
早速、本題に入ります。
目次
1. アサインとは
つまるところ、アサインとは仕事の割り当てだと捉えていただければOKです。
コンサルティングファームでは、決まった仕事はなく、常にプロジェクトベースで様々な仕事に携わることになります。
まずは、コンサルティングファームにおけるアサインの流れをざっくり説明しましょう。
1-1. アサインの流れ
- パートナーが営業活動し、クライアントからプロジェクトを受注する
- 人事がリソース情報を確認し、プロジェクトにアサイン可能なコンサルタントのリストを確認する
- パートナーがプロジェクトからのリソースニーズと、アサイン可能なコンサルタントのリストを照らし合わせ、アサイン面談の候補者を選定する
- プロジェクトマネージャーが、候補者とのアサイン面談を実施し、プロジェクト概要の説明やスキル/能力等の適正判断を行う
- パートナーが、アサイン面談の結果をもって、正式にアサインを決定する
コンサルティングファームに入ってからも、就職/転職活動の延長戦が待っているとも言えますね。
全てのファームにおけるアサインまでの流れはこの限りではありませんが、基本的な流れは抑えておきましょう。
兎にも角にも、コンサルティングの仕事はクライアントのニーズによって成り立っていますし、プロジェクトの内容や期間は、本当に多種多様です。
アサイン期間もプロジェクトに応じて、2~3ヶ月の場合もあれば、1年を超えるケースもあり得ます。
1-2. アサインの期間
アサインの期間に関して言えば、次の3つの要素に左右されることになります。
① プロジェクト期間
② ファームや所属チーム(ユニット)の方針
③ あなたのキャリア志向
① プロジェクト期間
例えば、「〇〇戦略の構想策定」であれば数ヶ月というプロジェクト期間になりますし、「××基幹システムの導入支援」であれば年単位といったプロジェクト期間になるでしょう。
アサイン期間の最大値ですね。
一旦プロジェクトが終了すれば、再度アサインされるまで、新しいプロジェクトに従事することは基本的にありません。
② ファームや所属チーム(ユニット)の方針
次に、会社や所属するチームとしての育成方針も影響してきます。
新卒の若手に対して、まずは自分に適した専門性を見極めるため、多種多様なプロジェクトを半年単位で経験して、研鑽を積んで欲しいというケースもあれば
中途の中堅に対して、自分の専門性は既に決まっている前提で、1つ1つのプロジェクトのデリバリーにコミットして欲しいというケースもあるでしょう。
③ あなたのキャリア志向
最後に、自分自身のキャリアに対する考え方です。
これが受け入れられるかどうかは、ファーム/チームの状況や上司との関係性、これまでのプロジェクトパフォーマンスに依ることになるかと思います。
ただし、希望は言わなければ、そもそも認知すらされないので、自分はどう考えているかをアウトプットするという行為自体は、コンサルタントの視点からすれば重要かと思います。
2. アサインされないとどうなる?
アサインが何たるかはなんとなく分かってきたけど、アサインされることの重要性ってどうなの?という話をします。
その前に、コンサルタントの評価について軽く触れます。
コンサルタントになった暁には、人事や所属チームの上司、プロジェクトメンバーから様々な観点で評価を受けることになりますし、その評価は賞与・昇給率・昇格に影響します。
そして、評価要素の1つに稼働率という数字があります。
説明のために簡単化すると、年間の稼働時間の内、クライアントに対してコンサルティングフィーをチャージ可能な売上貢献の時間が占める割合です。
稼働率 = 年間のクライアントチャージ時間 / 年間の稼働時間
え、働いた時間は全部クライアントにチャージ可能なんじゃないの?と思った方もいらっしゃいますよね。
実は違うんです。
具体例を挙げると、大まかには次のように分けられます。
チャージ可能な時間:
- プロジェクト活動
- 提案活動
etc
チャージ不可能な時間:
- 研修
- チーム活動
- アベイラブル
- 休暇(※有給の場合は、分母の労働時間にそもそも含まれない)
etc
アベイラブルについて、よく知らない方は次の記事を参照ください。
話を戻すと、年間でクライアントにチャージ可能な時間の割合が多ければ多いほど、ファームに対する売上貢献が高いという意味になります。
この稼働率には、ランクに応じて目標値が定められており、スタッフ(非管理職)であれば90%程度、マネージャーであれば50%程度が目安となりますし、職位が上がるにつれて稼働率の目標は低減します。
上位ランクであれば、プロジェクトの受注や組織の拡大等により多くの時間を割き、プロジェクトのデリバリーに対する関与度は減っていくからです。
この目標の稼働率に達しないと、当然評価にはネガティブな影響が生じますし、そういった状況が続けばさらに肩身の狭い思いをすることになります。
昨今では、Up or Outのように退職を直接的に命じられたケースは、私の身の回りでは聞きませんが、プロジェクトにアサインされない期間が長期化することでメンタルがやられて、結果的に自主退職というケースはありました。
3. アサインされない原因
とは言え、アサインされない期間が生じる可能性は誰にでもあります。
例えば、次のようなケースです。
・前のプロジェクトは終了したが、契約期間の都合上、次のプロジェクトが始まるまで1週間程度のアベイラブル期間がある。
・前のプロジェクトが終了したため、1週間の休暇を取得したい。
こうした特殊な事情を除いて、アサイン期間が中長期化している場合は、必ず原因があります。
3-1. 外的要因
■ アサインするべきPJがない
そもそもプロジェクトが受注できなければ、アサインには至りません。
これはあなた自身の課題というより、パートナーや所属先のチーム、ひいてはファームの課題と言えます。
しかし、ファームや所属先のチームによっては、抱えているコンサルタントの数に対して、一時的にPJの数が不足することもあります。
具体例としては、コロナ等の突発的な環境の変化が挙げられます。
コロナによる影響が深刻な業界では、クライアント側で短期的なコストカットが進み、コンサルティングファームへに依頼するようなプロジェクトに関して、開始時期を遅らせる or 新規発注を一時的に取りやめるといった対応もありました。
3-2. 内的要因
■ パフォーマンスが悪い
パフォーマンスが悪いと、アサインにおいては非常に不利です。
まず、パフォーマンスを「①スキル・能力」と「②それらを最大限引き出すマインド」の2つに分けたとしたら、ここでのパフォーマンスを左右する要素として、圧倒的に②が大事です。
勿論、①も個人差はありますが、コンサルティングファームのケース面接をくぐり抜けているのであれば、ある程度の素養はあるとしましょう。
コンサルタントも人ですから何事にも初めてはありますし、全ての分野で高いスキル・能力を持っているわけではありません。
特にスタッフレベルに関しては、例え初めての分野であっても、過去に得た知識・経験を総動員して前向きに取り組み、最高のアウトプットを出そうとする気概や、最後までやり抜く責任感といったマインドセットが、パフォーマンスの良し悪しに帰結します。
次に、パフォーマンスが「悪い」とは相対的な表現なので、何と比較して?という話になりますよね。
それは例えば、所属チームに居る同じランクのコンサルタントとの比較かもしれませんし、そのファームにおける同じランクに求められる職務要件かもしれません。
後者であればかなり致命的なので、1番下のランク以外での転職を考えている場合は、求められるパフォーマンスがどの程度なのか、しっかり把握しておきたいところです。
そして、新しいプロジェクトへのアサインを検討する際、そのプロジェクトマネージャー(以下PM)と初めて一緒に働くことになるケースも多いです。
勿論、同じPMと別のケースで働くことも往々にしてありますが、一定期間アサインされないという前提のため、同じスタッフを囲うという話は、一旦脇に置いておきます。
初めて一緒に働くPMが、どうして自分のパフォーマンスを知っているのでしょうか?
それは過去にあなたのプロジェクトでPMを担っていたメンバーにヒアリングをし、パフォーマンスについて事前確認をしていたり、過去の評価をチェックしているからですね。
良くも悪くも過去の業績が今のあなたを作ることになるため、自分自身のレピュテーション管理は非常に重要です。
1~2つのプロジェクトでパフォーマンスが出なかったとしても、別のプロジェクトで結果を残していれば問題ありませんが、複数のプロジェクトで連続して結果が出ていなければ、「コイツは出来ない」というハンコを押されてしまいます。
また、パフォーマンスの良し悪しは、社内のメンバーのみならず、社外のクライアントからも判断されうる点には留意しましょう。
■ 協調性がない
パフォーマンスが高くても、アサインに結びつかないコンサルタントは存在します。
コンサルティングのプロジェクトにおいては、1人で黙々と作業する時間もありますが、パートナーやマネージャー、他のスタッフと議論したり、共同作業する時間も多いです。
いかに優秀であっても、PMや他のプロジェクトメンバーから共に働きたいと思われなければ、アサインには至りません。
とは言え、性格をすぐに変えることも難しいので、無理に取り繕って、相性が合わないまま働いても辛いだけです。
その気があるのであれば、考え方を修正していくことも一案ですが、たまたま馬が合わなかっただけというケースもあります。
ただし、相性の問題で済ましてしまう前に、自分に改善できた点はないか省みることも大切です。
■ スキルのアンマッチ / プロジェクトの選り好み
これらは、中長期というより一時的にアサインされない理由として挙げられます。
プロジェクトニーズに対して、これまでの経験やスキルがマッチしていなければ、そのプロジェクトへのアサインは見送られるかもしれません。
しかしながら、そういった場面はシニアスタッフやPM等、プロジェクトを支えていくメンバーに限られると言っても過言ではありません。
スタッフレベルであれば、未経験の領域であっても今後の成長に期待してアサインされることは多々あるため、もしスキルのアンマッチが原因で中長期的にアサインされないと考えているのであれば、他に原因がある可能性が高いです。
また、キャリアや興味関心に応じて、プロジェクトのアサインを自ら断ったり、アサイン面談の辞退が続くと、アサイン面談の声すら掛からなくなることもあります。
4. アサインされるために出来る行動
アサインを待つ期間を短縮したいのであれば、アベイラブル期間や、まさに今従事しているプロジェクトが終わる前から次のような行動を取るとよいです。
4-1. 営業活動(提案)のサポート
所属ファームやチームにプロジェクト数が十分にない場合や、自分を売り込みたい場合には、提案書の作成を手伝うことが有効です。
これまで一緒に働いたことのないマネージャーであっても、実際にリサーチや議論、ドキュメント作成をすることで、あなた自身のスキルをアピールする場にもなり得ます。
提案の結果、そのプロジェクトを受注出来た暁には、メンバーとしてそのままプロジェクトのデリバリーにも携わる可能性もあるでしょう。
多くのパートナーやマネージャーは、複数のプロジェクトをマネジメントしながら、少ない時間の中で営業活動を行なっているため、手を動かしてくれるメンバーからの支援は有難いものです。
4-2. 自己研鑽
過去のパフォーマンスを変えることは出来ませんが、今足りてないスキルや知識を蓄えて、次に備えることは出来ます。
コンサルティングのスキル以外にも、英語であったり、所属チームの特性に応じた知識のアップデートが出来ると、アサインの幅も広がります。
こうした自己研鑽の結果は、プロジェクトのデリバリーのみならず提案活動にも表れるため、積極的に学び、アウトプットする場数を踏むといった行動力が求められます。
4-3. 社内活動への参画(人脈形成)
営業活動の他にも、会社のために貢献しつつ、自分をアピール出来る場はいくつかあります。
所属チームで開催されている勉強会の参加・運営、採用活動、または社内向けのプロジェクトなどがあります。
こういった場においても、サポートの申し出は有難いですし、あなた自身にとっても他のチームに所属するマネージャーと知り合うチャンスです。
ファーム内で自分の名前を知らしめる良い機会だと思って、積極的に参加してみてください。
あなたの活躍を見ている人は必ず居ます。
4-4. 所属チームの変更
最後に、思い切って所属チームを変えて、新しい環境に飛び込んでみるという選択肢もあります。
所属チームにプロジェクトがなかったり、入ってみたら興味関心のないプロジェクトを扱うチームで、モチベーションが上がらず、結果的にパフォーマンスも付いてこないと感じる人にとっては、良いかもしれません。
ただ注意点として、所属の変更には受け入れ先への根回しが必要です。
コンサルティングファームにも社内政治は存在します。
ただ根回ししたから所属を変更できるわけもなく、当然受け入れ先ではあなたのキャリア志向や過去のパフォーマンス、現在抱えているプロジェクトニーズとスキル・能力のマッチ度も考慮することになります。
いくつもの条件をクリアして、ようやく所属が変更できるわけです。
5. まとめ
プロジェクトベースの組織に居た経験がない限り、アサインという仕組み自体に馴染みがない方もいらっしゃるかと多います。
全てのアサインが自分の希望通りにいくことはまず無いですが、仮に希望通りでなかったとしても、スタッフであれば、数ヶ月または長くても1年程度で次のプロジェクトに移ることが出来る点は、コンサルの良い所の1つでしょうか。
そうした期間も下積みだと思って、目の前の仕事から頑張れるか否かが、コンサルとして成長できるかどうかの分かれ道です。
仮に少し上手くいかなかったとしても、次のプロジェクトでパフォーマンスを出せばいいだけですし、何回か上手くいかなかったとしても、コンサルというハードな業種から転職してしまえば良いだけです。
フラットに且つ腐らずに、目の前の仕事に取り組みましょう。
最後に、座して待っていても良い仕事は降りてきません。
会社に貢献して、チームの中でパフォーマンスを上げているメンバーから、良い仕事を取っていってしまうからです。
本記事を読んで、アサインに関する理解を深め、より良いコンサルライフを送っていただければ幸いです!