コンサルティングサービスを売るためには、どんな提案が必要?
上記の悩みを解決します。
■ 本記事の内容
- コンサルティングにおける提案の特徴
- 提案書に含むべき要素
■ 本記事の読者
・営業や提案活動に従事されている方
■ 本記事を読むメリット
- コンサルティングの提案について理解し、提案書を作成することが出来る
商品であってもサービスであっても、顧客に売るためには、まず提案が必要となります。
提案がなければ、顧客自身がその商品やサービスに関する情報を収集し、自分たちで買う買わないの判断を下さなければなりません。
よほど大手の会社でなければ、商品やサービスの情報自体にアクセスしてもらう事すら出来ず、そもそも存在を認知してもらえないことも多々あります。
そうした状況において、売り手側からの情報提供は大切です。
機を逃さず、積極的な提案活動を行うことで、自社の売上を大きく伸ばすことが出来ます。
今回は、経営コンサルティングの現場から、どういった提案がなされているのかを紹介したいと思います。
早速、本題に入ります。
目次
1. 「課題解決型」提案の必要性
昨今では、あらゆる業界において、単純な自社商品の提案ではなく、課題解決の提案が求められています。
企業を経営する中で、何かしらの課題が生じた場合に想定される状態は次の3つです。
- 何が課題であるか分からない状態
- 何が課題であるかは分かっており、解決策が分からない状態
- 何が課題であるかに加えて、その解決策も分かっており、必要なツールが欲しい状態
単純な商品の提案を行う場合には、3.の状態でしか刺さりません。
一方で、目まぐるしく変わる世間の情勢や、猛スピードで意思決定をする中で、1.や2.の状態となっている企業は少なくありません。
1や2の状態においても提案を成功させるためには、顧客が現時点で抱えている悩みや課題をヒアリングした上で、解くべき課題を特定し、その解決策として自社商品を提案する必要があります。
1〜3の状態において、売るモノ自体は自社商品に変わりはないのですが、顧客が「何故その商品が必要か?」という理由を理解するだけで、成功率は格段に変わるはずです。
コンサルティング業界では、こうした「課題解決型」の提案を行なっています。
2. コンサルティングにおける提案の難しさ
コンサルティングにおいて、提案書作成は非常に難易度が高い業務と言えます。
その理由は、次の2点です。
2-1. コンサルティングそのものが非常に高額
2-2. 商品自体に実体がない
2-1. コンサルティングそのものが非常に高額
通常、コンサルティングファームにおけるプロジェクトでは、複数名のメンバーからチームを編成し、サービスを提供します。
ファームによって、その単価は異なりますが、次のようなイメージです。
- 3~5名(パートナー、プロジェクトリーダー、スタッフ1~3名)で、月単価2,000〜3,000万円
例として、3ヶ月の支援であれば、月単価2,000万円 × 3ヶ月 = 6,000万円がプロジェクトの費用となります。勿論、長期プロジェクトであれば、その分費用はかさみます。
数千万円や数億円規模の費用ともなれば、大企業においても決裁権のある役職のメンバーが意思決定をする必要があります。
2-2. 商品自体に実体がない
商品が自社で開発しているシステム等であれば、提案時にUIや機能のデモンストレーションを行うことで、クライアントが具体的なイメージを掴むことが出来るでしょう。
しかし、コンサルティングサービスが提供するモノは、戦略や課題解決の方法であり、提案時において具体的な成果物イメージの提示が難しいことも事実です。
勿論、提案時においては成果物を定義しますし、プロジェクト終了時には各種報告書や分析資料をPowerPointやExcel等の形式で、クライアントに納品します。
このように、価格が高い/実体がないといった特性があるため、コンサルティングサービスという商品の販売は非常に難しいと言えます。
3. 提案書に含むべき4つの要素
売る難易度が高いコンサルティングサービスにおいて、提案書には少なくとも次の4つの要素が含まれている必要があります。
3-1. 解くべき課題
3-2. 初期仮説
3-3. 仮説検証のアプローチ
3-4. 信頼性
3-1. 解くべき課題
提案書において、最も重要な要素となります。
これが記されていなければ、その後の提案内容が台無しです。
解くべき課題は顕在化されているものに限りません。
そもそも、クライアント自身が解決すべき課題を把握していない可能性もあります。
クライアントが解決を求めている課題とは別に、より優先度が高い課題が存在する可能性もあります。
どういう経緯で課題が生じ、なぜ今解く必要があるのか?といった問いに答えられるよう、解くべき課題の整理をまず初めに行いましょう。
3-2. 初期仮説
解くべき課題を特定した後は、いくつかの答えるべき論点に分解し、現時点における仮の答えを示します。
解くべき課題に対して何をすべきか、を直接的に導ける状況は中々ありません。
論点を設定することで、答えるべき問いを見極める必要があります。
また、プロジェクトが始まる前、即ち提案書の作成段階において、魅力的な仮説を構築することは、非常に難易度が高いです。
しかし、クライアントに納得感を抱かせる初期仮説を提示できれば、プロジェクトにおける具体的な活動や成果物の理解が得やすく、契約まで繋がりやすくなります。
3-3. 仮説検証のアプローチ
どのようにして、仮説を検証し、課題解決の方策を見つけ出すかという解法を設計します。
クライアント側でも課題の特定までは出来ているものの、具体的に何をどうすればよいかが分からない、というケースは、往往にしてあります。
仮に初期仮説の筋が悪かったとしても、アプローチがよければ、仮説を修正し、最終的な答えに辿り着くことが出来るでしょう。
3-4. 信頼性
最後に、コンサルタントが期限/品質水準を守りながら、プロジェクトをデリバリーできるという信頼性を示します。
その材料として、以下の要素が想定されます。
- コンサルティングファームとしての過去実績/知見など
- コンサルタント個人の過去実績/経歴/知見など
ある程度の規模のコンサルティングファームであれば、類似プロジェクトの過去実績がある筈なので、情報を絞った上で提案書に盛り込んでいます。
しかし、ファームとしての実績もさることながら、クライアントに対して直接的に支援を行うコンサルタントはプロジェクトに従事するメンバーに限られますので、個としての実績も信頼性に繋がるでしょう。
4. まとめ
以上が、コンサルティングにおける提案書の特徴です。
解くべき課題の特定や、その解法の設計では、考える力が必要になります。
この考える力は、経験を積むことで格段に向上しますし、どの業界のどの仕事においても確実に役立つことでしょう。
特に若手のコンサルタントであれば、提案機会には自ら手を挙げ、参画すべきと思います。
その時の経験が必ずや、今後のキャリアにおいて活きる筈です。
本記事の内容が、あなたの提案活動の参考になれば幸いです。