コンサルとして働く時に、どんな能力・スキルが求められるの?
上記の悩みを解決します。
■ 本記事の内容
- コンサルティングファームの概要
- コンサルタントの仕事内容
- コンサルタントとして求められる能力・スキル
- コンサルタントに向いている人の特徴
■ 本記事の読者
- コンサルティング業界やその仕事内容について知りたい方
- コンサルという単語を耳にしたことはあるが、仕事内容に対して具体的にイメージが湧いていない方
- コンサル業界への転職を検討している方
■ 本記事を読むメリット
- コンサルティングファームの概要や、コンサルタントの仕事内容を大まかに理解できる
- コンサルタントに求められる能力やスキルを理解できる
まず、簡単な用語の説明からです。
コンサルティングファームという会社で働いている社員のことをコンサルタントと呼びます。
「コンサル」という単語は、文脈によって会社を指す場合もありますし、社員を指す場合もありますね。
- 会社:コンサルティングファーム
- 社員:コンサルタント
そして、コンサルと言えば、近年の就活ランキングで上位に入ってますよね。
OpenWork(旧Vorkers)では東大・京大の就活注目企業ランキングを掲載していますが、特に東大においては、実に上位10社中6社がコンサルティングファームまたはコンサル部門を有する会社です。
↓東大生が注目する企業ランキングの上位10社に入るコンサルティングファームまたはコンサル部門を有する会社
- #1:株式会社野村総合研究所
- #2:アクセンチュア株式会社
- #5:PwCコンサルティング合同会社
- #7:マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社
- #8:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
- #10:日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM)
ここまで人気のあるコンサルタントの仕事は、一体どういったものなのでしょうか?
現役でコンサルタントとして働く筆者の目線から、コンサルティングファームの概要についても併せて紹介していきます。
早速、本題に入ります。
目次
1. コンサルティングファームの概要
冒頭で紹介した就職注目企業ランキングに載るような、皆さんがよく耳にするコンサルティングファームは、往々にして規模が大きいです。
そして、規模が大きいファームの組織形態は、よく次の2軸に分けられます。
- Industry:業界別(金融/保険/資源・エネルギー/自動車・・・)
- Function:機能別(戦略/IT/M&A/人事/・・・)
コンサルタントは、IndustryまたはFunctionから専門領域、言ってしまえば所属チームを決めて、基本的にはそのチームが受注したプロジェクトに従事することになります。
Industryにせよ、Functionにせよ、専門領域を決めることによって、類似した業界や機能が関連するプロジェクトへのアサインが増えるため、日々の仕事で培ったスキルや知見が別のプロジェクトでも活かしやすくなります。
入社時または入社後に自分の専門領域を決めるわけですが、もちろんファームによっては、後から専門領域を変更することも可能です。
プロジェクトは業界 × 機能のマトリクスにおける点になるため、その業界/その機能を専門領域とするコンサルタント達で結成されたチームによって遂行されます。
また、戦略系、総合系、IT系といった〇〇系コンサルという括りを聞いたことがあるかと思います。
〇〇系の大まかな違いについては、次の記事で紹介しています。
【業界研究】コンサルティングファームとは?〇〇系コンサルの違いを解説
2. コンサルタントの仕事内容
2-1. コンサルにおける大まかな仕事内容
一言で言えば、クライアントの課題解決が仕事です。
もともとコンサルティング(Consulting)の語源であるConsultは、「相談する、助言を求める」という意味の動詞です。
クライアントから対価をいただいて、コンサルティングファームがクライアントの代わりに事業を取り巻く課題を解決する、という構図になります。
なお、ここまでファームという会社勤め前提の話をしておりますが、フリーランスのコンサルタントとして働く個人事業主という形式も、最近は増えてきているようです。
話を戻しまして、課題解決のためには、次の2つの問いに答えていかなければなりません。
- 何が課題か?
- どうすれば課題を解決できるか?
近年では、上記問いに対する答えを導き出すだけではなく、クライアントに寄り添いながら、実際に解決策の実行までを支援するケースが多いです。
以上を踏まえて、実際にコンサルタントが行う仕事の大まかな流れは、
現状調査 → 課題分析 → 原因特定 → 解決策検討 → 解決策実行
というものです。
2-2. コンサルにおける職位別の期待値
コンサルでは、職位が違う複数のメンバーでチームを組閣し、プロジェクト単位の仕事に従事することになります
職位については、ファームによって細かな呼び方や期待値の差はあれど、ざっくり分けて3種類あります。
2-2-1. スタッフクラス
アナリスト、アソシエイト、コンサルタント、シニアコンサルタント等の呼び方が存在します。
各ファームにおいて最もボリュームを占める層であり、主にプロジェクトのデリバリーを担います。
手足を動かし、Excelで分析作業をしながら、Wordで議事録を取り、PowerPointで資料を作成します。(もちろん他のタスクもあります)
これらの地道な作業がプロジェクトを一歩一歩前へ進めることになります。
2-2-2. マネージャークラス
マネージャー、シニアマネージャー、プロジェクトリーダー等の呼び方が存在します。
現場責任者として、1つ又は複数のプロジェクトデリバリーを担う役割です。
基本的には、コンサルタントとしての素養があって初めてマネージャーへ昇進します。
スタッフクラスのメンバーを抱えて、作業指示を出したり、成果物をレビューしたり、クライアントへのプレゼンを行うなど、常に裁量とプレッシャーがある環境で働くことになります。
2-2-3. パートナークラス
パートナー、ディレクター、プリンシパル等の呼び方が存在します。
コンサル業界において最強です。
ファームに出資した上で経営の一端を担ったり、業界単位や複数のクライアントを受け持つ形でマネージャークラスを束ねたりしています。
過去のプロジェクトで関わったCxOレベルのクライアントと良好な関係を継続し、プロジェクトの種を蒔いたりしています。
2-3. 具体的な業務例
コンサルティングのテーマとしては、例えば次のようなものがあります。
- 中期経営計画の策定
- グローバル展開を見据えた全社組織の最適化
- 標準化/効率化を企図した業務改革
- 基幹システム刷新における基本構想の策定
とは言え、テーマだけ見ても、具体的にコンサルタントが何をしているかイメージが湧かない人も多いかと思います。
そもそも働き方がプロジェクト単位になるため、プロジェクトのテーマや、クライアントが置かれた状況に応じて、実施する業務も変わってきます。
よって、定型的なルーティーン的業務は少ないのが実態ですが、ここでは新卒コンサル1年目が入社後に間違いなくやるであろう業務例を紹介していきます。
■ 議事録作成:クライアントとの会議や、必要に応じてプロジェクトメンバー内の会議において、会話した内容や決定事項、ネクストアクションなどを整理し、参加者に展開します。
もう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事へ
【コンサルの登竜門】議事録の書き方
■ Excel分析:プロジェクトで設定した仮説の検証や、検証結果からの示唆出しの材料として、政府が公表しているデータや、クライアントから受領したデータを基に、各種計算やモデルの構築を行います。
もう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事へ
外資コンサルが教えるエクセルの流儀【初心者向け】
■ PowerPoint資料作成:基本的にクライアントに納品する成果物や、日々の会議資料はPowerPointで作成されることが多く、担当領域の大小はあれど、伝えるべきメッセージを考え、メッセージが伝わるコンテンツを描きます。
■ リサーチ:目的を設定した上で、Google検索・社内ナレッジ・書籍・インタビューを始めとして、あらゆる手段で必要な情報にアクセスし整理するとともに、そこから何が言えるのかをまとめます。
こうした作業を如何にスピーディかつ高い品質で行い、短縮できた時間をどれだけ考えることに充てられるかがポイントです。
職位が上がるにつれて、手を動かすよりも、プロジェクトで答えるべき問いや進め方を考えたり、メンバーが作成した成果物のレビュー・品質担保などに時間を割くことになります。
3. コンサルタントとして求められる能力・スキル
プロジェクトのテーマや状況に応じて、臨機応変な対応が求められるコンサルタントですが、それゆえに必要とされる能力やスキルがいくつかあります。
要は、正解のない問いに対して自ら答えを探し続けるための素養みたいなものです。
3-1. 論理的思考力
ロジカルシンキングとも呼ばれます。
そもそも、業界数十年の経験を持つクライアント企業の役職者に対して、時間上の制約も考慮しながらコンサルタントが意味のある提言を行うには、筋道立って理解しやすく、かつ説得力のある説明が求められます。
こうした状況下において、複雑な事象を整理してシンプルに捉える際に、論理的思考力が役立ちます。
上で紹介した1年目のコンサルタントが従事する普段の業務においても、ロジックが破綻していないかを意識するだけで、あらゆる場面において成果物や仕事の品質が変わります。
- 文章であれば、議事録や資料作成
- 口頭であれば、コミュニケーション
ロジカルシンキングについて、詳しくは次の記事で紹介しています。
ロジカルシンキング(論理的思考)とは?メリットや考え方のポイントを解説
3-2. 想像力
自分が上司の立場だったら、どう考えるだろうか?
自分がクライアントの立場だったら、この提言に価値があると感じるだろうか?
"〜だったら"を使いこなすことで、自分の仕事に対して客観的な視点で見つめ直せますし、先を見据えた段取りも出来るようになります。
また、論理的思考と並んで、コンサルに必要なスキルとよく言われる仮説思考についても、想像力が必要です。
ビジネスの世界においては、唯一の正解が用意されている訳ではないので、どれだけ正解だと思われる選択肢を選ぶことができるか、そしてどれだけ早くその選択肢に辿り着けるかは、想像力次第と言っても過言ではありません。
3-3. プロフェッショナルとしてのマインド
コンサルタントとして仕事をする上で、クライアントからは常に「高い報酬に見合った分の仕事をしてもらえているのか?」という目線で見られます。
プロジェクト自体はファームとして受注しますが、結局はチームに居るコンサルタント1人1人がどれだけ価値を提供できたかによって、プロジェクトの成否が決まるからです。
プロジェクトテーマによっては、クライアントの将来を大きく左右する意思決定に関わる場合もあります。
オーナーシップを持ち続け、自ら推進していく前向きな姿勢は、コンサルタントとしても評価されるでしょう。
3-4. 上昇志向(ストレス耐性)
コンサルティングファームでは、優秀なメンバーに囲まれ、難易度の高いプロジェクトで何回も壁にぶつかることもあります。
ただ自分の不甲斐なさを感じる時もありますし、周りと比較して自分なんか・・・と思ってしまうこともあるかもしれません。
厳しい状況でも成果を出し続けるためには、何らかのモチベーションが必要です。
1つ例を挙げるとするなら、新たなポジションへの挑戦や、昇進へ向けた能力開発など、向上心が少なからずある人であれば、逆境でも腐らずに活躍できるでしょう。
最近は業界全体での働き方改革が進み始めていることもあり、昔のような長時間労働は減りつつあります。
しかし、プロジェクトの状況によっては特定の期間だけ、体力的に負担を強いられる可能性もあります。
万が一、精神的または身体的なストレスが生じた場合、ある程度の耐性やストレスを発散させられる趣味、またはそうした状況が気にならない程のモチベーションがあれば、コンサルタントとして長く働くことができます。
3-5. 英語力
コンサルティングファームや従事するプロジェクトのテーマによっては、英語力が求められることもあります。
これは本当にケースバイケースなので、一概にどの程度のレベルまであれば大丈夫、ということはありません。
目安としては、英語話者との会議で問題なく意思疎通ができるレベルであれば、多くのプロジェクトで期待される役割を全うできるかと思います。
全く英語を使わないプロジェクトもあれば、メールやチャット上でのやり取りだけ英語だったり、コミュニケーションから成果物作成まで全て英語のプロジェクトもあります。
自分が目指すコンサルティングファームやチームの状況をあらかじめ把握しておき、求められる英語力がどの程度かを理解しておくことも必要です。
英語力が十分あれば、アサインできるプロジェクトの幅が増え、それだけキャリアとしての選択肢も豊富にあるということになります。
コンサルで必要な英語力については、次の記事で紹介しています。
4. コンサルタントに向いている人の特徴
現役のコンサルタントとして働く中で肌感覚として、次のような特徴を持っている人はコンサルとして長く楽しく働ける印象があります。
4-1. 考えることを楽しめる
コンサルタントの仕事をする上で、頭を使わない時間はほぼ無いと言ってもいいでしょう。
常に考えて考えて考え抜いた上で、クライアントと向き合うことが求められます。
クライアントやチームメンバー、自分自身が納得のいくまで、時に素早く、時に長く考えること自体を楽しめる人であれば、コンサルとして非常に価値を発揮しやすいです。
また、楽しむとは別の観点ですが、最後まで考え抜ける思考体力がある人も、コンサルタントとして向いています。
4-2. 物事に広く興味・関心がある
世の中のニュースや友達の発言など、ふとした日常の事でも、自分が知らないことであれば、すぐGoogleで調べてしまう習慣がある人も、コンサルタントに向いています。
あくまで可能性としての一例ですが、分からないままにしておく人と比較すれば、次の3つの点で優位な特徴があるからです。
- インプットした様々な情報を前提に、自分の考えを構築することができる
- 未知の情報へのキャッチアップに慣れている
- 「なぜ?」「なに?」を考えるクセがついているため、他の人が気にならないような視点を持っていたり、思考の瞬発力が早い
4-3. 完璧主義すぎない
クライアントは完璧な成果が出るまで、悠長に待っていてはくれません。
プロジェクトは期間が決まっており、その中で最大限のパフォーマンスと最大限の成果が求められることになります。
よって、回り道をしている暇などなく、成果を出すための最短ルートを考え、全力で走り切ることになります。
もちろんプロフェッショナルとしての品質は求められる一方で、枝葉の部分で下手に時間を割くのではなく、最も重要なパートに心血を注ぎます。
語弊を恐れずに言えば、あくまで目的はクライアントへの価値提供であり、完璧な何かを作りあげるのではない点に留意してください。
5. まとめ
今回は、コンサルタントの仕事内容/コンサルティングファームの概要について、紹介しました。
「コンサル」って、こういうものかな、という感触を少しでも掴んでいただけたでしょうか。
また、本記事で紹介した求められるスキル・能力は、決して先天的なものではなく、ある程度のレベルまではトレーニングによって鍛えられます。
「今の自分には、そんな能力・スキルはないかも」
と思う必要は全くありません。
前向きに取り組む意思があるかないかの方が、よっぽど大事です。
今、最前線で活躍されているコンサルタント達も、一部の人を除いて、初めから完璧にこなしていた人などいません。
皆、はじめは半人前からスタートして、今に至ります。
本記事で少しでもコンサルに興味が出てきたら、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。
コンサルティングファームの採用は拡大されつつありますが、十分な情報発信がされていないケースも多々あります。
今回紹介した情報を元に、キャリア選択の一助となれば幸いです。
コンサルティングファームを志す上で、転職エージェントの活用は必須です。
志望動機のブラッシュアップや、ケース面接対策、転職後の立ち上がり支援までを無料で行っているエージェントも居るため、使わないともはや損なので、