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ロジカルシンキング(論理的思考)とは?メリットや考え方のポイントを解説

ロジカルシンキングって、つまり何?
論理的思考力を身に付けるメリットは?

本記事の内容

  • ロジカルシンキングとは何か
  • ロジカルシンキングにおける考え方のポイント

本記事の読者

  • 複雑で面倒な業務に携わっている方
  • これからコンサルを志望する方

本記事を読むメリット

  • ロジカルシンキングを理解し、今後の業務に活用できるようになる

こんにちは、てらでぃーです。

今回は、ビジネスにおいて重要なスキルの1つである「ロジカルシンキング」を解説します。

ロジカルシンキングを身に付けることによって、日々の膨大な業務をより効率的にこなし、付加価値の高い業務により時間をかけることが出来るようになります。

現役コンサルタントが、そもそもロジカルシンキングとは何か?という概要から、考え方のポイントまで紹介していきます。

早速、本題に入ります。

1. ロジカルシンキングとは?

ロジカルシンキングとは、「論理的」に「考える」ことを指します。
平たく言えば、複雑な事象を整理し、シンプルに捉えるための思考方法です。

日本語では、論理的思考と言われたりもしますね。

「論理的」とは、物事が体系的に整理され、矛盾や飛躍がない状態です。
論理すなわちロジックは、世界で共通の言語であり、日本語話者であろうが、英語話者であろうが、意思疎通するためのツールとなります。

逆に言えば、たとえ日本語話者同士でも、論理が通っていなければ、コミュニケーションが上手くいかないこともあります。

結局、何を言いたかったかが分からない・・・といった経験をしたことがある人も少なからず居るのではないでしょうか?

論理的であることで、伝わりやすさは段違いに向上します。

また、「考える」とは、問いやゴールに向かって、答えや解決策を見出すために頭を使うことを指します。
よく混同されますが、答えがないことに頭を使っている「悩む」状態とは異なります。

例えば、料理をしたいのに、家のキッチンで包丁が見つからない場合

悩む」:包丁がない!どうしよう?

考える」:まず、食器棚や引き出しを確認しよう。家族の誰かが昨日使って、どこかに置きっぱなしにしてるかもしれないから、聞いてみよう。それでも見つからなければ、買いに行こう。

大まかではありますが、「悩む」と「考える」では、こういった違いが出ます。

「包丁を使って料理をする」というゴールが明確であれば、そのために何をすればよいか考えることが出来るため、常に目的を意識できるとよいでしょう。

2. ロジカルシンキングを身に付けるメリット

ロジカルシンキングは、問題解決におけるあらゆる場面(Input → Process → Output)で非常に有効です。

  • Input:問題を正しく認知し、理解する
  • Process:Inputを分析し、問題解決に向けた課題や対策の特定を行う
  • Output:検討した結果を整理し、関与者に伝える

分析力や問題解決能力の向上のみならず、コミュニケーション能力の改善にも寄与します。
整理した情報を文字で伝えるならば、それはドキュメンテーション力に繋がりますし、対話で伝えるならば、提案力に繋がるからです。

具体例を挙げるなら、以下のケースで役立つことでしょう。

  • 自身が担当するタスクの進め方やスケジュールについて、素案を作成し、上司に報告する
  • 関与者が多い会議の場で、それぞれの立場を理解し、落とし所を見据えながら、結論を出す
  • クライアントの新規事業展開支援に向けた提案書を作成する
  • 膨大なデータから、必要なパートを切り出し、示唆出しのための分析を行う

ロジカルシンキングは、ビジネスシーンにおいて幅広く役立つため、社会人であれば、身につけておきたいスキルの1つです。

3. ロジカルシンキングにおける考え方のポイント

ロジカルシンキングが何たるかや、どんなシーンで役立つかは理解したけど、結局どう身につければいいの?という話をします。

3-1. 主張の組み立て方

そもそも「考える」ためには、問いが必要であることは、既に説明しました。

問いに対する自分なりの答え(仮説)を主張する際、主張を裏付ける根拠が必要です。
主張と根拠の組み合わせ方に関して、大きく2通りの考え方があります。

  • 帰納法:複数の事象から、共通するルールを見出し、主張を導く
  • 演繹法:既知のルールに基づき、具体的な事象を当てはめ、主張を導く

①帰納法であれば、以下のように考えます。

  • 事象A:とある飲食店における1日あたりの営業時間は減少している
  • 事象B:同飲食店における1時間あたりの来店客数は減少している
  • 事象C:同飲食店における1人あたりの注文金額は減少している
  • 結論:同飲食店における売上は減少しており、近々潰れてしまう可能性がある

帰納法は、複数の事象から信憑性の高い結論を導く手法であるため、事象自体の量や質によって、または主語によって、導き出される結論は異なる可能性があります。

ここでは、全ての事象を包括的に把握した上で結論を導いているわけではない点には注意しましょう。

実は、同飲食店ではクラウドファンディングや物販といった別活動が軌道に乗っており、売上面では全く問題がないといった可能性もあるわけです。
つまり、推論としての側面が強いと言えます。

②演繹法であれば、以下のように考えます。

  • 社内ルール:1~11月において、有給取得率が50%を下回るスタッフには、12月中の有給取得を奨励する
  • 事象:スタッフXさんは、1~11月で有給取得率が20%である
  • 結論:スタッフXさんには、12月中の有給取得を奨励し、チームにおける業務量を調整する

演繹法は、把握しているルールや知識量に依存するため、論理に飛躍がないよう十分に引き出しを増やしておくことが大切です。

3-2. 情報整理の方法

次に、情報整理における基本的な方法を紹介します。

  • MECE :モレなく、ダブりなく
  • So What? / Why So?:つまり? / なぜ?

①MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略称です。
モレなく、ダブりなく、考えることで、あらゆる選択肢から最適な方法を選択したり、主張に対して必要十分な根拠があるかを確認することができます。

抽象的な物事を考える際には、具体的な要素に分解することで、より考えやすい状態へ変化させることが可能となります。

例えば、あなたがとある事業を任され、向こう1年で利益を1.3倍に向上させることを目標として、活動しているとします。

この場合、「売上をいかに伸ばすか?」を考えるだけでは不十分で、「費用をいかに削減するか?」も考えなければなりません。
何故なら、利益 = 売上 - 費用であり、売上および費用の両面から検討することで、モレなく目標達成に必要な打ち手を考えることが出来るからです。

②-a. So What?(つまり?)は、今ある情報から結論を導く帰納法であり、
②-b. Why So?(なぜ?)は、結論に対して根拠の十分性を確認する演繹法です。

分かりやすく言えば、So What?は結論を、Why So?は原因を追求するための問いです。

例えば、「XXXを分析しました。結果はYYYでした。」という分析結果があったとして、その分析結果から結論付けられる「誰に何をして欲しいのか」という提案や示唆がなければ、So What?に答えられていないことになります。

結論がなければ、分析自体の価値が下がり、場合によってはただの無駄な作業だった、という状況にもなり得ます。

逆に、提案や示唆があったとしても、「何故そう言えるのか」という質問に答えられなければ、Why So?の要素が不十分のため、主張の信頼性は弱まるでしょう。

3-3. フレームワーク

最後に便利ツールであるフレームワークを紹介します。
フレームワークを使うことによって、情報を整理し、効率的に相手との意思疎通を図ることが出来ます。

  • ピラミッドストラクチャー:結論を頂点とし、根拠をその下にピラミッド状に表すフレームワーク
  • ロジックツリー:複雑な問題や原因、その対策を枝状に表すフレームワーク
  • ビジネスフレームワーク:3Cや4Pといった一般的に広く使われるフレームワーク

①ピラミッドストラクチャーは、伝えたい主張(結論)を頂点に置き、その下の階層で根拠を並べることで、説得力を創出する主張です。

事実を積み上げることで、根拠を見出し、結論という仮説へつなげるボトムアップのアプローチもあれば、まず結論という仮説を置き、必要な根拠を探し出すというトップダウンのアプローチもあります。

②ロジックツリーは、MECEの考え方をもとに、ツリー上に要素を分解し、整理する手法です。
例えば、「ダイエットをする」であれば、そのための方法を分解していくと、次のようになります。

  • ダイエットをする
    • 体内に入ってくるエネルギー量を減らす
      • 1日の食事回数を減らす
      • 1回あたりの食事量を減らす
    • 体外に出ていくエネルギー量を増やす
      • 基礎代謝量を増やす
      • 食事誘発性熱産生を増やす
      • 身体活動量を増やす

③ビジネスフレームワークは、状況に応じて、「こういった事を考える必要があるよね」という要素を予め整理したものです。

【例③-a】3C分析

新規市場の開拓や、新商品の企画において、環境分析を行う際に有用なフレームワークです。
・Customer(市場・顧客):市場の規模や成長性はどうか?顧客のニーズは何か?
・Company(自社):自社の強みやコアバリューは何か?
・Competitor(競合他社):他社の強みやコアバリューは何か?

【例③-b】4P分析

マーケティング戦略の立案で用いられるフレームワークです。
・Product(製品):どんな商品・サービスを提供するのか?
・Price(価格):商品・サービスをいくらで提供するのか?
・Place(販売チャネル):商品・サービスをどのように顧客へ届けるのか?
・Promotion(プロモーション):商品・サービスをどのように販促するのか?

4. 注意すべきこと

ロジカルシンキングは非常に有用ですが、その活用においては、いくつかの注意点があります。

4-1. ロジカルシンキング自体は、目的ではなく、あくまで手法

相手に自らの主張を伝えるというゴールがあって初めて、情報の収集・整理や、アウトプットの作成が必要になり、ロジカルシンキングが有効な場面が出てきます。

手段が目的化してしまわないように、気をつける必要があります。

4-2. 前提が正しい場合にのみ、結論を論理的に導ける

ロジックは、世界で共通の言語と既に述べましたが、それは自分と相手で置いている前提(インプット)がすり合っている状態でのみ、成立します。

議論を始める際には、まず前提を確認することが重要になってきます。

ロジックが通っている状況で、意見が対立してしまう場合は、自分の持っている情報と相手が持っている情報が整合していない可能性が高いです。

4-3. ロジカルであることが全てではない

人とのコミュニケーションにおいて、ロジカルであることが常に正しいとは限りません。

人には感情があるため、正論だけで人を動かそうとすれば、人間関係にヒビが入り、結果的にコミュニケーションが上手くいかない可能性もあるわけです。

ロジカシンキングはさておき、相手目線で考えるという想像力が、あなたのコミュニケーションを円滑化する1つの要素となるでしょう。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか?

まずは、ロジカルシンキングとは何かを理解をした上で、次は日々の業務で実践し、無意識でも出来るように練習していきましょう。

コンサルの就職/転職活動で、必ずと言っていいほど出てくるケース面接でも、ロジカルシンキングのトレーニングが出来ます。

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